投稿者: admin

  • 占用許可申請のオンライン化はなぜ進まないのか

    〜占用業務を“路線図”として捉えたSaaS型POCの実践〜

    自治体業務の中でも、占用許可申請のオンライン化は長年課題とされてきました。

    原因は単純で、
    申請だけオンライン化しても業務が完結しないからです。

    本記事では、既存システムを活かしながら実現した
    現実的なオンライン化モデル(POC)
    を紹介します。

    ■ 背景:なぜ占用許可申請はオンライン化できないのか

    現在の電子申請サービスでは、

    • 申請受付
    • 添付ファイル提出

    までは対応できます。

    しかし実際の業務では、

    • 審査
    • 納入
    • 許可書発行

    といった一連の流れが必要です。


    ◎ 問題はここです

    「申請の後の業務がつながらない」


    結果として、

    • メール
    • Excel
    • 個別システム

    が混在する運用になっています。

    ■ 自治体の制約:ネットワーク分離

    自治体のシステム環境は、

    • インターネット系
    • LGWAN系
    • 庁内系

    に分離されています。


    ◎ つまり

    外部サービスと庁内システムが直接つながらない


    これが、オンライン化が進まない本質です。

    占用業務を「ライフサイクル」で捉える

    占用許可は、一度の申請で終わるものではありません。下図にある**「占用ライフサイクルモデル」**が示す通り、業務は「誕生(新規申請)」「維持(納付更新)」「再生(継続更新)」という無限のループで構成されています。

    手続きの種類発生条件申請者の負担現地調査最終成果物
    新規申請未登録・新規要望重いあり新規許可書・起案書
    納付更新年度替わり軽い(納付のみ)なし納付更新リスト・調定表
    継続更新申請切れ中(書類提出)なし更新許可書

    このように、種類によって業務の重さも成果物も異なります。これら全てを一つのシステムで強引に置き換えるのではなく、それぞれのプロセスの「合流地点」をいかにつなぐかが重要です。

    占用業務を複雑にしているのは、申請者、占用担当者、そしてシステムや金融機関という異なるアクター(路線)が複雑に絡み合う点にあります。

    「路線図」で可視化する業務のボトルネック

    例えば、新規申請フェーズでは現地調査や適不適の確認を経て「起案書」が作成されますが、継続申請においても起案以降は全く同じ**「共通収納レール」**へと合流します。 このプロセスを「路線図」として可視化することで、どこでデータが滞留しているのか、どの「駅(書類)」で手作業が発生しているのかが明確になります。

    さらに、未申請者への「催告状」や未納者への「督促状」といった、例外処理(セーフティネット)までを設計に組み込むことで、初めて実務が完結します。

    業務プロセス全体を「路線図」で俯瞰したことで、下図のとおりRPAやポータル化によって優先的に自動化すべき**「アナログ・タッチポイント」**が特定されました。

    • Target 1「発送」のデジタル化: ポータルサイトを通じたデジタル配信により、紙の郵送コストと封入作業を削減。
    • Target 2「振込確認」の自動化: 金融機関とのAPI連携により、消し込み作業を自動化。
    • Target 3「窓口・多重入力」の排除: e-Gov連携によるオンライン申請を庁内システムと直結。

    占用業務は、
    単一の手続きではなく、

    「申請 → 審査 → 納入 → 許可 → 維持更新」

    という連続した業務フローです。

    ■ 解決アプローチ:「流れ」を分断しない

    今回のPOCでは、

    単一システムではなく、組み合わせで解決

    しています。

    ■ 構成

    • 申請受付:オンラインフォーム
    • ワークフロー:自動連携処理
    • データ管理:業務データ基盤
    • 庁内処理:既存業務システム

    ◎ ポイント

    「置き換えない」こと

    ■ POCで実現した業務フロー

    今回の特徴は、「段階的な処理」を実現している点です。

    今回の特徴は
    段階的な処理です


    ■ 主な流れ

    1. オンライン申請(位置情報付き)
    2. 受付通知(自動)
    3. 担当者による審査
    4. 承認・却下
    5. 請求書送付
    6. 入金確認
    7. 許可書発行

    ◎ これらを

    • メール通知
    • ステータス更新
    • 自動連携

    でつないでいます。

    ■ ポイント:既存システムを捨てない

    今回の一番重要な考え方です。


    ■ 結論

    既存システムはそのまま使う


    • 庁内業務システム
    • データベース

    は変更せず、

    外側に仕組みを追加します。


    ■ なぜ重要か

    これにより、

    • 予算制約
    • ベンダーロック
    • 運用負荷

    を最小化できます。

    システム連携の実態

    本モデルでは、

    メールを使ったデータ連携

    を採用しています。


    ■ 仕組み

    • 外部 → CSV送信
    • 庁内 → メール受信
    • 自動でデータ登録

    ◎ これにより

    ネットワーク分離を突破

    しています。

    ■ 今後の展開:自治体DXの現実解

    このモデルは、

    • 道路占用
    • 公園占用
    • 公園使用
    • 各種申請

    に横展開可能です。


    ◎ 特に重要なのは

    「つなぐ設計」

    です。

    ■ まとめ

    占用許可申請のオンライン化は、

    単なるデジタル化ではなく
    業務プロセスの再設計です。


    今回のPOCでは、

    • 強靭化環境でも実現可能
    • 既存システムを活用
    • 段階的に導入可能

    という現実解を示しました。

    ■ 最後に

    自治体DXは、

    ◎ 「システム導入」だけではなく
    「組み合わせ設計」

    も含めて進めるべきです。

    ■ ご相談について

    占用許可申請のオンライン化や、
    既存システムを活かした業務改善については、

    ・現状の課題整理
    ・小規模な実証(POC)
    ・段階的な導入検討

    から対応可能です。

    まずはお気軽にご相談ください。

  • 自治体DXを阻む4つの構造と解決方法

    ~ データ活用の本質と地域GIS研究所のアプローチ ~

    自治体DXを進めるうえで重要なのは、
    単にシステムを導入することではなく、

    自治体特有の業務文化を理解したうえで進めることです。

    自治体には、長年の運用の中で蓄積された

    ・台帳データ(例:固定資産課税台帳、道路台帳、公園・樹木台帳)
    ・空間情報(地図・施設)
    ・業務履歴(点検・申請・苦情)

    といった、極めて価値の高いデータ資産が存在しています。

    しかし現実には、それらが十分に活用されていません。


    ■ 自治体DXの本質と課題

    このように、自治体に存在する様々なデータは
    GISによって統合され、分析・可視化を経て、
    最終的に政策判断へとつながります。

    本来、自治体が持つデータは

    「現場 × 位置 × 時間」

    をすべて持つ、非常に強力な資産です。

    例えば

    ・樹木台帳 → 空間+履歴
    ・人流データ → 時間変化
    ・道路・施設 → 位置情報

    これらを統合すれば、

    「見える化」ではなく「意思決定の根拠」になります

    しかし現実には、こうしたデータが存在していても、
    十分に活用されていないのが実情です。

    その背景には、自治体特有の組織構造があります。


    ■ DXを阻む4つの構造的課題

    自治体DXが進まない背景には、以下の構造的課題があります。


    ① 縦割りによる弊害

    ・部署ごとにデータが分断
    ・同じ情報を重複管理
    ・横断的な意思決定ができない

    ☑ 結果:全体最適ではなく部分最適


    ② 前例踏襲主義の弊害

    ・「今まで通り」が優先される
    ・データ活用の新しい試みが進まない
    ・改善よりも維持が目的化

    ☑ 結果:変化に弱い組織


    ③ 予算主義による財政の硬直化

    ・単年度予算での最適化
    ・投資対効果ではなく「使い切り」
    ・システム更新が断片的

    ☑ 結果:全体設計ができない


    ④ 上意下達の組織の弊害

    ・現場の知見が政策に反映されない
    ・データが意思決定に使われない
    ・判断が経験依存

    ☑ 結果:EBPMが機能しない

    これらの課題により、
    データがあっても「判断」に使われない状況が生まれています。


    ■ 自治体データの本来の価値

    自治体が持つデータは、単なる記録ではありません。

    政策判断のための基盤となる資産です

    しかし、

    ・分散している
    ・活用されていない
    ・蓄積されていない

    といった理由により、その価値が十分に発揮されていません。

    こうした課題を解決するためには、

    単にデータを集めるだけではなく、
    「現場・位置・時間」を持つデータを統合し、
    分析から意思決定までを一体で回す仕組みが必要です。

    以下は、その具体的な運用イメージです。

    このように、現場データを起点として、
    データの統合・可視化・分析・意思決定までを一体で回すことで、従来分断されていた業務をつなぎ、
    データに基づく政策判断(EBPM)を実現することができます。


    ■ DX化の正しい進め方

    地域GIS研究所では、こうした仕組みを実現するために、
    DXを以下のステップで進めます。


    ① データをつなぐ(統合)

    ・GISによる空間統合
    ・Excel・CAD・台帳の一元化

    ✅ 縦割りの解消


    ② 見える化する(可視化)

    ・ダッシュボード
    ・マップ表示

    ✅ 現場と管理の共通認識を形成


    ③ 分析する(理解)

    ・時系列分析
    ・リスク分析
    ・パターン抽出

    ✅ 前例依存から脱却


    ④ 判断に使う(EBPM)

    ・KPI化
    ・優先順位付け
    ・施策検討

    ✅ 上意下達から脱却


    ⑤ 運用に組み込む(定着)

    ・日常業務への組み込み
    ・継続的なデータ更新

    ✅ 予算主義から脱却


    ■ 地域GIS研究所の存在意義

    地域GIS研究所の役割は、

    単なるシステム導入ではありません


    ■ 強み

    ① 自治体35年の現場理解

    机上ではなく、実務に基づいた支援


    ② GIS × 統計 × AIの統合

    技術を「使える形」に落とし込む


    ③ 業務フローから設計

    システムではなく「業務を変える」


    ④ 小さく始めて広げる設計

    PoCから横展開へ


    ■ まとめ

    自治体DXの本質は、

    「データを使うこと」ではなく
    「データで判断すること」

    です。


    そしてそれを実現するためには、

    自治体の文化を理解し、
    現場・データ・政策をつなぐことが不可欠です。


    地域GIS研究所は、

    現場経験 × GIS × 統計 × AI

    を組み合わせ、

    自治体におけるデータ活用と意思決定の高度化を支援します。


    ■ 活用をご検討の方へ

    自治体DXの導入やデータ活用について、

    ・自自治体で活用できるか知りたい
    ・どこから始めるべきか相談したい
    ・具体的な導入イメージを検討したい

    など、お気軽にご相談ください。


    ▶ お問い合わせはこちらです。

  • 豊島区における防犯・危機管理DXの可能性

    〜IOTカメラ × AI分析と人流データで実現する新しい行政施策〜

    豊島区において、防犯・危機管理の高度化に向けた新たな取り組みとして、AIカメラとデータ分析を活用した実証的な検討を行いました。

    従来の防犯カメラは「記録」が中心でしたが、本提案では「分析・予測・通知」までを一体化し、行政判断に活用することを目的としています。

    本記事では、実証分析から得られた具体的な知見と、今後の行政施策への展開可能性について解説します。

    ■ 背景:防犯カメラは“見るだけ”から“活用する”時代へ

    従来の防犯カメラ運用では、

    ・映像の確認は事後対応
    ・データとしての活用はほぼ無し
    ・現場判断は経験頼み

    という課題がありました。

    本提案ではこれを、

    「データに基づく危機管理(EBPM)」へ転換

    することを目的としています。

    ※交通分析においても、時間帯ごとの相関分析により「リスク時間帯」や「重点配置」が明確化できることが確認されています。

    ■ 提案概要:IOTカメラ × AI分析×GIS

    本提案では、IoTクラウド型カメラを活用し、以下の構成で実現します。

    ■ システム構成

    ・カメラでスナップショット取得(10分間隔)
    ・AIで人物・車両を自動検出
    ・ArcGISでデータ蓄積・可視化
    ・異常値を自動検知し通知

    ■ 特徴

    ・動画ではなく静止画 → データ量が少ない
    ・クラウド管理 → 現場負担なし
    ・AI解析 → 人手不要

    ■ ① 人流・交通量の可視化

    ※交差点ごとの人流・交通量をリアルタイムに可視化

    ・15分単位で通行量を取得
    ・交差点ごとのランキング化
    ・時間帯別の変化を把握

    「どこが危ないか」が定量化

    実証結果では、
    西口五差路交差点やとげぬき地蔵入口交差点は通行量・変動ともに高く、
    都市の主要動線であることが明確に把握されました

    ■ ② 異常検知(ここがDXの本質)

    ・通常のパターンをAIが学習
    ・逸脱(±2σ〜3σ)を検知
    ・メールで即時通知

    異常は「リアルタイムで検知され、即時対応が可能」

    ・急激な人流増加
    ・事故・イベント
    ・突発的混雑

    実際の分析でも、
    残差分布は正規分布に近く、±2σを超える値を「異常」として定義可能であることが確認されています。

    異常は「予測できる現象」へ変わる

    ■ ③ 交差点リスクの可視化

    ・歩行者 × 車両の交錯リスク
    ・時間帯別の危険度
    ・優先対策地点の抽出

    交差点ごとの危険な時間帯を可視化

    ※曜日・時間帯ごとの異常発生を可視化しています。
    特に赤・紫は異常発生が多く、重点対策が必要な時間帯

    時間帯によって人流・車両流のピークが異なる


    「どこに人員を配置すべきか」が明確

    特に、
    西口五差路やとげぬき地蔵入口では

    ・昼間(10〜16時)
    ・夕方(16〜23時)

    に交錯リスクが最大となることが確認されています

    ■ 分析から見えた重要な示唆

    ■ 時間帯別の特徴

    ・朝 → 車両ピーク(通勤)
    ・昼 → 歩行者増加(生活・観光)
    ・夕方 → 交錯リスク最大

    時間帯で対策が全く違う

    ■ 交差点のタイプ分類

    交差点ごとに危険の特性が異なることが分かります。

    実証では交差点は大きく3タイプに分類されました。

    ① 歩行者中心(商業・観光)
    ② 車両中心(幹線道路)
    ③ 混合型(最も危険)

    一律対策ではなく「タイプ別対策」が必要

    ■ 異常発生の特徴

    ・曜日・時間帯に偏りあり
    ・特定地点で集中
    ・イベントや外部要因の影響

    例:
    ・日曜昼に混雑集中
    ・平日夕方にピーク
    ・特定曜日のみ異常発生

    危険は「偶然」ではなく「パターン」

    ■ 行政施策への活用

    本データは単なる分析ではなく、以下に直結します。

    ■ 交通安全

    ・歩車分離信号の導入
    ・横断歩道の最適配置
    ・時間帯別交通規制

    ■ 防犯対策

    ・夜間人流の把握
    ・カメラ配置最適化
    ・異常時の即時対応

    ■ 都市政策

    ・人流に基づく街づくり
    ・観光・イベント対策
    ・リソース最適配分

    「感覚」から「データへ」

    ■ KPIで管理できる行政へ

    本提案では以下をKPIとして設定可能です。

    ・通行量可視化率
    ・異常検知件数
    ・防犯カメラ稼働率
    ・通学路危険箇所数
    ・夜間人流把握率

    成果が数値で説明できる行政へ

    ■ まとめ

    本提案の本質は、

    「カメラ」ではなく「データ活用基盤」

    ・見る → 分析
    ・分析 → 予測
    ・予測 → 行動

    行政DXはここまで進んでいます。

    そして本取り組みは、

    現在は実証段階(PoC)ですが、

    ・交通安全
    ・防犯
    ・都市政策

    すべてに展開可能な基盤として、
    今後の自治体運営に大きな可能性を持っています。


    本内容は、トップページで紹介している
    「AIカメラ×GISによる都市分析」の実証事例です。

    ■ 活用をご検討の方へ

    本手法は、交通安全、防災、都市政策など幅広い分野に適用可能です。

    ・自自治体で活用できるか知りたい
    ・導入イメージを相談したい
    ・データ分析の可能性を検討したい

    など、お気軽にご相談ください。

    ▶お問い合わせはこちら

  • 樹木管理システムとは|AI・ArcGISによる樹木点検DXと履歴管理

    公園や街路樹の管理は、自治体にとって重要な業務の一つです。

    しかし現場では、

    ・現地調査に時間がかかる
    ・点検履歴の管理が煩雑
    ・報告書作成の負担が大きい

    といった課題が存在しています。

    本記事では、GISとAIを活用した樹木管理DXについて、
    実際の検証結果をもとに解説します。

    従来の樹木管理の課題

    • 樹木を1本ずつ現地で確認
    • 紙やExcelでの台帳管理
    • 点検履歴の蓄積が困難
    • 危険木の優先順位が曖昧
    • 報告書作成に多大な時間

    これらの課題により、
    「調査・記録」に多くの時間が割かれ、
    本来重要な「判断」に時間を使えない状況が発生しています。

    ArcGISによる樹木管理とは

    「1対多のリレーションシップ」が実現する継続的な履歴管理

    公共施設点検全般において、個別の地物(樹木)と点検履歴を正しく結びつけるには、「1対多(1:N)」のリレーションシップを構築することが不可欠です。本アプリでは、このリレーションを自動で構築する仕組みを備えています。

    このデータ構造により、現場での業務は以下のように進化します。

    • 過去の履歴を現場で即座に確認: モバイル端末の画面上で、前回の点検結果や写真、コメントを確認しながら、今回の点検内容を入力できます。
    • 対象物の誤認防止: 過去データと照合しながら調査することで、対象木の特定ミスや情報の断絶を防ぎ、データの連続性を担保します。
    • 「点検の積み重ね」を資産に: 1本の樹木に対して点検履歴が時系列で蓄積されるため、単発の調査で終わらず、継続的な「履歴管理」が可能になります。

    AI×GISによる樹木管理DX

    当社では、自治体での公園管理業務や街路樹管理業務において、ArcGISを活用した樹木管理基盤の整備を進めてきました。

    さらにGISとモバイル入力に加え、
    航空写真とAIを活用した樹木抽出技術を組み合わせることで、
    樹木管理業務の抜本的な効率化を実現しています。

    ■ 樹木抽出AIの仕組み

    高解像度航空写真を使用

    • AIが樹冠単位で自動検出
    • GIS上で本数・密度を集計
    • 分布を可視化

    ■ 検証結果(黒鳥山公園)

    • 対象面積:約30ha
    • 抽出本数:約1,800本
    • 密度:約60本/ha

    密度・分布ともに実際の公園環境と整合しており、
    実務で活用可能な精度レベルに到達していることを確認しました。

    ■ 使用データと精度の考え方

    本検証では、ESRIが提供する衛星画像(高解像度)を使用し、
    TIF形式に変換したデータをもとに解析を行いました。

    現時点ではAI抽出結果と現地調査との突合検証は未実施ですが、

    ・密度が現実的
    ・分布が自然
    ・過検出傾向の把握が可能

    であることから、

    全体把握・計画検討用途としては十分実用レベルにあると評価しています。

    また、自治体が保有する航空写真(オルソ画像)を使用することで、 さらに高精度な樹木台帳の作成が可能になります。

    業務の変化(最も重要)

    従来の樹木管理は、

    ◎ 現地で台帳を作るという流れでした。

    一方で本手法では、

    AIで台帳を作成し、現地で確認するという運用へ転換します。

    これにより、

    「調査する業務」から「判断する業務」へシフトすることが可能になります。

    現地入力の考え方を変えると、業務は劇的に変わる

    従来の樹木調査では、1本ずつ現地で位置を確定し、すべての入力項目を手作業で登録する必要がありました。

    しかしこの方法は、調査精度は高い一方で、入力負担が大きく、作業時間が増大するという課題があります。

    本取り組みでは、発想を転換し、

    「最初から正確に入力する」のではなく、「全体を俯瞰しながら効率的に補正する」運用を採用しています。

    ■ 効率的な現地入力の流れ

    • AIで作成した樹木台帳をベースとして表示
    • 現地では近い樹木を選択
    • 位置をマップ上で微調整
    • 必要な項目のみ入力
    • 存在しない場合のみ新規ポイント追加

    の方法により、

    ゼロから入力する作業を大幅に削減することが可能になります。

    ■ 従来手法との違い

    【従来】

    • 位置を1本ずつ新規作成
    • 全項目を毎回入力
    • 現地作業時間が長い

    【本手法】

    • 既存データを選択して修正
    • 必要な項目のみ入力
    • 現地作業時間を大幅短縮

    つまり「作る作業」から「確認する作業」への転換です。

    全体を俯瞰しながら入力するか、1本ずつゼロから入力するかで、
    作業時間には大きな差が生まれます。
    この差は単なる効率化ではなく、

    調査コスト・人的負担・継続運用の可否を左右する重要な要素です。

    精度と効率を両立する「ハイブリッド台帳生成」の考え方

    樹木台帳を整備する際、全ての箇所に同じ手法を適用するのではなく、資料の有無や求められる精度に応じて以下の2つのアプローチを組み合わせる「ハイブリッド手法」が最も現実的かつ効果的です。

    1. 既存図面の幾何補正による「高精度台帳」の作成
    過去の植栽図や設計図書が残っている場合、それらをArcGIS等で幾何補正し、GISデータとして樹木ポイントと属性を構築します。

    • メリット: 過去の植栽記録に基づいた極めて正確な台帳図が作成できます。
    • 課題: 補正作業や属性の紐付けに相応の工数を要するため、初期の経費が増大する傾向があります。

    2. AI樹幹抽出による「効率的・ラフデータ」の作成
    図面が存在しない、あるいは広範囲を迅速に把握したい場合には、航空写真からAIで樹冠を抽出します。

    • メリット: ラフなGISデータをあらかじめ作成しておくことで、現地では「ゼロから入力」するのではなく「既存データとの突合・微調整」だけで済み、劇的な効率化に繋がります。
    • 課題: 精度は航空写真の解像度に依存するため、位置の微修正を前提とした運用となります。

    ■ 「ハイブリッド」がもたらす運用の最適化

    これら2つを組み合わせることで、「AIだけでは不十分」「図面整理だけでは高コスト」という双方の弱点を補い、実務に即した台帳が成立します。

    このハイブリッド手法で整備された台帳をベースに、前述の**「1対多(1:N)のリレーションシップ」**を組み込むことで、正確な位置情報に基づいた継続的な点検履歴の管理が可能になります。①正確な地図(図面由来)
    効率的な全体把握(AI由来)
    が共存して初めて、現場で迷わない、データに基づく意思決定(EBPM)の基盤が完成するのです。

    樹木台帳の作成においては、AIによる抽出だけに依存するのではなく、既存の図面データと組み合わせることで、精度と実用性を大きく向上させることができます。

    当社では、在職中に公園の植栽図を活用し、
    CAD・TIF・Excelで管理されていた図面データに対して、
    ArcGISによる幾何補正を行い、公園樹木基盤データを整備してきました。

    今回のAIによる樹木抽出と、これらの既存図面データを併用することで、

    ・AIによる広範囲の自動抽出(網羅性)
    ・図面データによる位置精度の補完(精度)

    を両立することが可能になります。

    すなわち、 AIだけでは不十分、 図面だけでも不十分、 両者を統合することで初めて、実務で使える樹木台帳が成立します。

    国交省指針に準拠した「マトリックス判定」の導入

    樹木点検の質を左右するのは、判定の客観性と再現性です。本システムでは、従来の合計点数によるランク付け(点数評価)から脱却し、**国土交通省の点検指針に基づいた「マトリックス判定」**を基本構造として採用しています。

    • 外観評価(A〜D)× 活力度(1〜4)の組み合わせ: 樹体の損傷や腐朽といった「外観」と、葉量や樹勢などの「活力」を独立して評価し、その掛け合わせで最終的な「総合判定」を自動算出します。
    • 判断の揺らぎを防止: 各評価には具体的な状態説明(例:大きな腐朽や幹の割れがあれば即D判定など)が付加されており、誰が入力しても同一の基準で評価できる仕組みを構築しています。
    • 説明責任の確保: 「なぜこの判定になったのか」が国交省の基準に照らして明確に示されるため、住民や関係者への説明責任(アカウンタビリティ)を果たすことが容易になります。

    ■ 指針に適合しつつ、自治体独自のニーズを実装できる「汎用性」

    本システムの最大の特徴は、国交省の標準的な枠組みを維持しながら、自治体ごとの固有課題に応じた判断基準を柔軟に実装できる点にあります。

    例えば、和泉市での運用事例では、国交省の基本項目に加えて以下の要素を統合しています。

    • 独自調査項目の追加: 特定の外来生物(クビアカツヤカミキリなど)による被害調査項目の実装。
    • 管理用リスクの設定: 現場判断に直結する独自の「管理用リスク(高・中・低)」の定義。

    このように、国の指針という「確かな土台」の上に、地域の特性や管理方針という「独自の基準」を重ね合わせることで、どの自治体でもすぐに実務に投入できる汎用性の高いシステムを実現しました。

    本仕組みは、単なる調査アプリではなく、自治体向けの「樹木管理システム」として継続運用できる構成を前提としています。

    導入効果

    • 調査時間の大幅削減(数日 → 数時間)
    • コスト削減(約50~70%)
    • 点検履歴の一元管理
    • 危険木の優先順位付け
    • 報告書作成の自動化

    活用イメージ

    • 樹木台帳と点検履歴の統合管理
    • 危険木の優先順位付け
    • 剪定・伐採判断の支援
    • 長寿命化計画への活用
    • 月報作成の自動化

    今後の展開

    • 他公園への展開
    • 年次更新による変化検知
    • 低木除去フィルタによる精度向上
    • GISダッシュボードとの連携

    まとめ

    AIとGISを組み合わせることで、
    樹木管理は単なる「調査業務」から、

    データに基づく意思決定(EBPM)を支える業務へ進化します。

    今後は、

    ◎ 「現地で作る台帳」から「AIで作る台帳へ」

    という流れが主流になっていくと考えられます。

    ■樹木管理DX:よくある質問(FAQ)

    Q. ArcGISで樹木管理はできますか?

    A. 可能です。Webマップ、モバイル点検、履歴管理、ダッシュボード分析まで一元管理できます。

    Q. AIだけで樹木診断はできますか?

    A. 現時点ではAI単独ではなく、職員・専門技術者とのハイブリッド運用が現実的です。※東京都では写真からのAI点検の実証実験が行われています。

    Q. 過去のCAD図面や植栽図は活用できますか?

    A. ArcGISによる幾何補正(ジオリファレンス)を行うことで、既存資産をGISデータとして再活用可能です。

    Q. 「ハイブリッド台帳生成」とは、具体的にどのような作業ですか?

    A. 既存の**「植栽図(紙・CAD)」の幾何補正と、「AIによる自動抽出」**を組み合わせる手法です,。

    • 図面がある箇所は、GIS上で位置を正確に補正し、過去の樹種属性を引き継ぎます(高精度)。
    • 図面がない、あるいは最新の状態ではない箇所は、航空写真からAIが樹木を自動で抽出します(高効率),。 これにより、「精度」と「コスト」の最適なバランスを実現します。

    Q. 既存の図面が全くない場合でも導入できますか?

    A. はい、可能です。 航空写真(オルソ画像)があれば、AIが樹冠を自動検出し、ラフなGISデータを先行して作成します,。現場ではゼロから入力するのではなく、AIが作ったデータを「確認・修正」するだけで済むため、従来の現地調査に比べ作業時間を大幅に短縮できます,。

    Q. 「1対多のリレーションシップ」による管理とは何ですか?

    A. 1本の樹木(地物)に対して、過去から現在までの複数の点検履歴を紐付けて管理する構造のことです。 従来の「その場限りの点検」とは異なり、現場の端末で「前回の判定はDだったから、今回は特に腐朽を確認しよう」といった継続的な経過観察が可能になります。これにより、対象物の誤認を防ぎ、データの連続性を担保できます。

    Q. 国土交通省の指針には対応していますか?

    A. 完全に準拠しています。 国交省の樹木点検指針に基づく「外観評価×活力度」のマトリックス判定をシステムに実装しています。客観的な基準で判定を自動算出するため、調査員のスキルによるバラツキを抑え、住民への説明責任(アカウンタビリティ)を果たせるデータを作成できます。

    Q. 自治体独自の調査項目(例:特定の害虫被害など)を追加できますか?

    A. 柔軟に追加可能です。 国の指針という「標準」をベースにしつつ、自治体独自の管理項目(例:クビアカツヤカミキリの被害確認、独自の管理リスク設定など)を組み込める汎用性の高い設計となっています。地域の特性に合わせた最適な管理体制を構築できます。

    Q. 導入によって、どの程度のコスト削減が見込めますか?

    A. 検証の結果、従来の「現地でゼロから台帳を作る」手法と比較して、調査コストを約50〜70%削減できることが確認されています。 報告書作成も自動化されるため、職員の事務負担も劇的に軽減されます,。

    関連記事

    ▶第1回 和泉市で始まったAI×GISによる樹木管理DXの記事はこちらに掲載しています。

    ■自治体向け樹木管理DXのご相談について

    地域GIS研究所では、

    • 公園樹木台帳整備
    • ArcGIS導入支援
    • 樹木点検DX
    • AI活用検証
    • 樹木管理システム設計

    など、自治体業務に合わせた支援を行っています。

    ▶ お問い合わせはこちら

  • 窓口DXはサービス低下なのか?

    ~ 統計分析で実証したセルフ型窓口の効果 ~

    ■ 背景(課題)

    自治体窓口では以下の課題がある
    
    ・待ち時間の長さ
    ・窓口業務の属人化
    ・職員負担の増大
    
    一方で、
    
    「非対面化するとサービスが低下するのではないか」
    
    という懸念が存在している

    ■ 実施内容

    豊島区において

    ・建築
    ・道路
    ・都市計画

    の3分野を統合し、

    GISタッチパネルによるセルフ型窓口を導入

    ■ 導入効果

    • 来庁者が自ら必要情報を取得可能
    • 待ち時間の削減
    • 窓口業務の効率化
    • 職員負担の軽減

    ■ 本分析の目的

    窓口DXにおいて最も重要な問い「サービスは本当に低下していないのか?」これをアンケートデータと統計分析で検証

    ■ 結論

    • 満足度は高水準(88%)
    • 非対面化によるサービス低下は確認されず
    • 満足度を決めるのは「接遇」ではなく「DX」

    ◎ システム品質が最も重要

    ■ 満足度の決定要因

    従来の考え方:
    職員の対応(接遇)が重要

    分析結果:
    ・接遇 → 影響は小さい
    ・DX(操作性・待ち時間)→ 影響が大きい

    ◎満足度は「仕組み」で決まる

    ■ 利用者は4タイプに分かれる

    さらに分析では、利用者は以下の4タイプに分類できることが分かりました。

    ① DX推進派(約71%)
    → システムに満足している

    ② DX肯定派(約17%)
    → 便利だが改善を求める

    ③ DX消極派(約11%)
    → 仕方なく使っている

    ④ DX否定派(1%未満)
    → そもそも受け入れない

    ■ 改善の方向性

    重要なのは

    「どこに投資するか」

    分析結果より

    ・職員増員 → 効果が小さい
    ・システム改善 → 効果が大きい

    ◎ DX投資の優先順位を明確化できる

    ■ 実際の施策

    来庁者満足度を分析した結果、
    「接遇」ではなく「DX(処理スピード)」が評価を左右していることが判明

    特に図面取得時の待ち時間がボトルネックであったため、

    プロッターを2台→3台に増設し、
    待ち時間を分散

    その結果、
    DX評価が向上し、総合満足度も改善

    ■ 当社の強み

    ・自治体実務経験
    ・GIS導入実績
    ・統計分析(因子分析・回帰分析)

    ◎ 導入だけでなく
    「効果検証・改善提案」まで実施可能

    ▶ 本分析の詳細(因子分析・回帰分析・クラスタ分析)
    調査レポート(PDF)をダウンロード

  • 統計で証明する行政DX― 総合窓口のタッチパネル化は本当に効果があったのか?

    自治体DXの現場では、
    「導入したが効果が見えない」という声が多く聞かれます。

    ・窓口をデジタル化した
    ・システムを導入した
    ・業務を効率化した

    しかし――
    それが本当に“成果”なのかを説明できているでしょうか。

    本記事では、実際の自治体窓口で実施された
    統計学に基づくアンケート分析をもとに、
    行政DXの「効果を証明する方法」を解説します。

    なぜ行政DXは「評価できない」のか

    多くの自治体では、導入後の評価が次のようになりがちです。

    ・「便利になったと思う」
    ・「満足度は高い」
    ・「問題は特にない」

    ◎ これはすべて“主観”です。

    行政に求められるのは
    説明責任(EBPM:証拠に基づく政策立案)

    つまり

    ✔ 数値で説明
    ✔ 統計で裏付け
    ✔ 根拠を示す

    これが必要になります。

    本調査は一般的なアンケートとは異なり、
    以下の統計設計に基づいて実施されています。

    • 無作為抽出
    • 回収率 95%以上
    • サンプル数 約400件
    • 信頼率95%・誤差5%で設計
    • クロス集計分析
    • 統計的仮説検定(ノンパラメトリック検定)

    ここまで実施している自治体調査は極めて稀です。

    つまりこれは
    **「感想」ではなく「科学的評価」**です。

    結論①:満足度は高い(約88%)

    総合満足度は約88%と高い結果となりました。

    これは

    ・窓口の効率化
    ・セルフサービス化
    ・情報取得の迅速化

    が評価された結果といえます。

    結論②:しかし“全員が満足”ではない

    ここが非常に重要なポイントです。

    利用者を2つのグループに分けると

    ・初回利用者
    ・従来の対面窓口利用者(リピーター)

    ◎ この2つで満足度に差が出ました。

    リピーターの満足度は統計的に有意に低い

    これは偶然ではなく、
    統計的検定により「有意差あり」と証明されています。

    なぜこの差が生まれるのか

    理由は明確です。

    ・初回利用者 → 他自治体との比較
    ・リピーター → 過去の窓口と比較

    つまり

    「評価基準が違う」

    DXは「改善」でも「劣化」と評価されることがある

    これは行政DXにおいて非常に重要な視点です。

    結論③:年代では差は出ない

    よくある仮説として

    ・高齢者は使いにくい
    ・若年層は満足度が高い

    がありますが、

    ◎ 統計的には差は確認されませんでした。

    「なんとなくの仮説」は間違っている可能性がある

    結論④:最大の課題は“待ち時間”

    満足度が最も低かったのは

    待ち時間

    さらに曜日別分析では

    ・月曜・金曜 → 満足度低下
    ・水曜 → 高い

    ◎ 混雑と満足度が連動していることが確認されました。

    ここから見える行政DXの本質

    この分析から見えるポイントは以下です。

    • DXは「導入」ではなく「運用」が重要
    • ユーザー層によって評価が変わる
    • 仮説は統計で検証すべき
    • 待ち時間など“現場要因”が支配的

    統計分析ができる行政DXコンサルの価値

    多くのDX支援は

    ・ツール導入
    ・システム構築
    ・業務フロー改善

    に留まります。

    しかし本当に重要なのは
    ◎「効果を証明できること」です

    当社では以下を提供しています。

    • アンケート設計(統計前提)
    • データ収集設計
    • クロス集計・分析
    • 統計的検定
    • ダッシュボード可視化
    • EBPM対応レポート作成

    まとめ

    行政DXは「導入して終わり」ではありません。

    効果を測り、説明できて初めて意味があります。

    「なんとなく良くなった」から
    「統計的に効果があった」へ

    その一歩を支援するのが
    地域GIS研究所の役割です。

    より詳細な分析内容については、
    以下のレポートをご参照ください。

  • 【調査レポート概要】AI×GIS分析で分かった室内イベントの「賑わい」は人数では測れない理由

    ■ 本記事のポイント

    本分析では、
    AIカメラとGISを用いて室内イベント会場を分析した結果、

    「人が多い場所」が賑わうのではなく、

    ・人の流れ
    ・滞在
    ・入口との関係
    ・時間帯による変化

    といった「構造」が、
    賑わいに大きく影響していることが分かりました。

    これは、
    イベント運営だけでなく、
    公共空間や施設配置の検討にも活用可能です。

    ■ 本分析の対象となった屋内イベント実証

    横浜市で開催された「YOXO FESTIVAL 2026」において、
    屋内イベント会場の人流分析を実施しました。

    観測対象は、クラフトと魔改造エリアを中心とした会場内の動線で、
    2026年1月31日(土)11:00~19:00、
    2月1日(日)11:00~17:00の2日間にわたり実施しました。

    本実証では、会場内外に5台のカメラを設置し、
    入口付近の通過量と、内部エリアにおける賑わいの変化を
    異なる指標として把握しました。

    ・通過量1:主会場の入口動線における延べ通過量
    ・通過量2:ESRIブース周辺の回遊状況を把握する補助指標
    ・賑わい度1~3:会場内部における滞留・往来の活発さを把握する指標

    屋内イベントでは、単に「何人来たか」だけでなく、
    入場後に人がどの場所へ移動し、どこで立ち止まり、
    どのように賑わいが形成されるかを把握することが重要です。

    しかし実際の運営現場では、

    • どの時間帯に人が増えたのか
    • どのエリアに滞留したのか
    • どのタイミングで混雑が発生したのか

    といった「動き」こそが重要です。

    本記事では、AIによる人流データを用いて、室内イベントにおける「賑わいの構造」を分析した実証結果をご紹介します。

    図:カメラの配置箇所(上は室内、下は会場全体)

    ■ AIカメラで「人数」ではなく「賑わいの動き」を捉える

    本実証では、カメラから取得した画像を用いて、
    AIによる人物検出を1分単位で実施しました。

    取得した people_count データは5分単位に集計し、
    時間帯ごとの変化、エリア別の違い、
    入口通過量と内部の賑わいとの時間差分析に用いています。

    なお、本分析で扱う数値は、
    個人を識別したユニーク来場者数ではありません。

    入口の通過量には入退場や一時的な滞留が含まれ、
    内部エリアの賑わい度には、
    同一人物の滞在、往復、立ち止まりによる重複観測が含まれます。

    そのため、本実証の目的は、
    正確な来場者数を確定することではなく、

    ・どの時間帯に人の動きが強まったか
    ・どのエリアに滞留が生じたか
    ・入場後、どの程度の時間差で賑わいが広がったか

    を、運営判断に利用できる形で可視化することにあります。

    ■ 2日間の観測で確認された賑わいの違い

    主会場入口に設置した通過量カメラでは、
    延べ通過量として次の結果が得られました。

    ・2026年1月31日(土):4,035
    ・2026年2月1日(日):2,665

    また、会場内部の賑わい度エリア1~3を合算した
    5分あたりの平均賑わい規模は、

    ・1月31日:約256
    ・2月1日:約248

    となりました。
    以下のグラフから、
    曜日によって会場内の人流構造が異なることが分かります。

    ここでいう賑わい規模は来場者人数ではなく、
    会場内部で観測された活動量・滞留の強さを表す指標です。

    1月31日は、午後にかけて複数のピークが現れ、
    比較的高い賑わいが継続しました。

    一方、2月1日は平均水準がやや低く、
    人の動きが比較的分散した傾向が確認されました。

    このように、同じイベント会場でも、
    日によって人の集まり方や滞在の仕方が異なることを
    データとして整理できます。

    ■ 入場後、奥側の賑わいは約20分遅れて形成された

    本実証では、主会場入口の通過量と、
    会場内部の賑わい度との時間差を分析しました。

    2026年1月31日のデータでは、
    入口付近の賑わい度エリア1は、
    通過量の増加と同じ時間帯に強く連動しました。

    ・通過量1 → 賑わい度1:ラグ0分、相関係数 0.558

    一方、会場奥側に位置する賑わい度エリア3では、
    入口通過量の増加から約20分後に最も強い連動が確認されました。

    ・通過量1 → 賑わい度3:ラグ20分、相関係数 0.532

    これは、来場者が入口を通過した直後に入口付近の賑わいを形成し、
    その後、会場内を回遊しながら奥側のエリアへ移動・滞在する
    可能性を示す結果です。

    つまり屋内イベントの賑わいは、
    一か所で同時に発生するものではなく、
    会場内を時間差を伴って広がる構造として捉えることができます。

    ■ この分析が会場運営に役立つ理由

    入口で人が増えた後、
    どのエリアが何分後に賑わいやすいかを把握できれば、
    運営側は先回りした対応を検討できます。

    例えば、

    ・入口通過量の増加を確認した後のスタッフ移動
    ・奥側エリアでの滞留発生を見越した誘導
    ・混雑が生じやすい場所への案内表示の追加
    ・展示や体験コンテンツの配置改善
    ・通路幅や待機スペースの見直し

    などです。

    従来の来場者数集計では、
    イベント全体の規模感は把握できても、
    「どこで」「いつ」「どのように」賑わいが形成されたかまでは
    説明しにくいという課題がありました。

    AI人流データとGISを組み合わせることで、
    屋内空間における人の動きと滞留を、
    レイアウト改善や安全管理につながる情報として整理できます。

    ■ データ品質とプライバシーへの配慮

    本実証では、2日間を通じてデータ取得は概ね安定していました。

    ・2026年1月31日の欠損率:1.04%
    ・2026年2月1日の欠損率:0.83%

    欠損が発生した箇所については、
    直前の有効値を保持する処理により、
    時間推移の連続性を確保したうえで分析しています。

    また、本実証では個人識別や個人追跡は行っていません。
    画像から取得した人数カウントをもとに、
    会場内の活動量や時間的な変化を分析しています。

    公共性の高いイベント空間において、
    プライバシーに配慮しながら、
    運営改善に必要な人流傾向を把握するための手法です。

    ■まとめ:これからのイベント評価は「構造」で見る

    YOXO FESTIVAL 2026 における屋内イベント人流分析では、
    AIカメラによる1分単位の人物検出データを用い、
    入口の通過量と会場内部の賑わいの関係を分析しました。

    その結果、入口付近では人の流入とほぼ同時に賑わいが生じる一方、
    会場奥側では約20分遅れて賑わいが高まる構造が確認されました。

    これは、屋内イベントの賑わいが、
    単なる人数の多さではなく、
    入場、回遊、滞留という時間的なプロセスによって形成されることを示しています。

    こうしたデータを活用することで、

    ・スタッフ配置
    ・混雑緩和
    ・会場レイアウト改善
    ・展示や体験コンテンツの配置検討
    ・次回イベントの運営計画

    を、経験だけでなくデータに基づいて検討できるようになります。

    AIカメラとGISによる人流分析は、
    イベントを「何人来たか」で評価するだけでなく、
    「人がどのように空間を利用したか」を明らかにし、
    より安全で回遊しやすい会場づくりにつなげる手法です。

    本取り組みの実績については、以下のページでも紹介しています。

    自治体DX・都市データ活用の実績

    詳細レポートはこちら

    AI×GISによるイベント分析資料をダウンロード

  • 【調査レポート概要】イベントの賑わいは「人数」では決まらない理由

    ◎ 本記事のポイント
    本分析では、
    AIカメラとGISを用いてイベント会場を分析した結果、

    「人が多い場所」が最も賑わっているのではなく、

    ・通行が活発
    ・滞在が発生
    ・視認性が高い

    といった「量」と「構造」の組み合わせが、
    賑わいに影響していることが分かりました。

    これは、
    自治体イベントや公共空間活用において、
    配置計画や導線設計の重要性を示しています。

    ■ イベントの賑わいは「人数」では決まらない

    本分析の対象となった実証事例

    本記事で紹介する分析は、横浜市・みなとみらい21地区で開催された
    「みなとみらい Christmas Market」における屋外イベント人流分析をもとにしています。

    本実証では、IoTカメラとAIによる人物検出、GISによる可視化、
    統計分析を組み合わせ、イベント会場における来場規模、混雑状況、通過・滞留の関係を定量的に把握しました。

    イベントの評価は、これまで「来場者数(人数)」で行われることが一般的でした。

    しかし現場では、

    ・人は多いが、賑わっていない
    ・混雑しているが、滞在されていない
    ・通過しているだけで、売上や回遊につながらない

    といった状況が発生します。

    つまり、

    「人数=賑わい」とは限らない

    という課題があります。

    本記事では、実際のイベントデータをもとに、
    賑わいを構造的に捉える分析手法を解説します。

    ■ AI×GIS分析で分かった
    イベントの賑わいは「人数」だけでは決まらない理由

    イベント会場では、同じ人数でも状況は大きく異なります。

    例えば、

    ・会場の外を通過する人が多い状態
    ・会場内部に入り、滞在・回遊している状態

    では、見た目の印象も実際の効果も全く異なります。

    重要なのは、

    「どれだけ人がいるか」ではなく
    「どのように人が動いているか」

    です。

    つまり、賑わいは「量」ではなく「構造」で決まります。

    ■ 本分析で導入した指標

    図:会場内流動性(inside_ratio)と賑わいの関係

    本分析では、賑わいは直線的に増加するのではなく、
    一定のポイントで最大となる「山型(非線形)構造」であることが確認されました。

    これは、通過と滞在が適度に混在している状態が、
    最も賑わいとして認識されることを示しています。

    ■ 最重要ポイント

    分析の結果、

    最も賑わって見える状態は、

    inside_ratio ≈ 0.44

    であることが分かりました。

    つまり、

    通行人と滞在者が適度に混在している状態

    が最も賑わいとして認識されることを意味します。

    ■ なぜこの結果が重要か

    この結果は、イベント運営の考え方を大きく変えます。

    これまでのように、

    「とにかく人を増やす」

    のではなく、

    ・滞在を促す導線設計
    ・回遊性を高める配置
    ・通過と滞在のバランス調整

    が重要であることを示しています。

    つまり、

    賑わいは「設計できる」ものです。

    ■ さらに分かったこと(信頼性)

    本分析では、他にも以下の点が確認されました。

    ・天候は来場者数に影響する(有意差あり)
    ・人流構造(内側化率)は天候に左右されにくい
    ・エリアごとに人の動き方が異なる

    これにより、

    イベントの評価を感覚ではなく、
    データで説明できる状態が実現されます。

    ■ みなとみらい21地区で実施した人流分析の概要

    本分析は、みなとみらい21地区で開催されたクリスマスマーケットを対象に、
    屋外イベントにおける賑わいを、AIカメラとGISを用いて定量的に把握したものです。

    観測期間は2025年12月15日から12月25日までの11日間、
    観測時間は各日11:00から21:30までとし、
    会場内外に設置した5台の可動式IoTカメラを用いてデータを取得しました。

    上図の5台のカメラには、それぞれ異なる役割を持たせています。

    ・F1:会場内側導線の通過量を把握
    ・F2:会場外縁部の通過量を把握
    ・C1、C2、C3:会場内部の賑わい・滞留状況を把握

    このように、入口や外縁部を通る人の流れと、
    会場内で滞在・回遊する人の状況を分けて観測することで、
    単なる人数計測では把握できない
    「イベント空間の使われ方」を分析しました。

    ■ 毎分スナップショットとAI解析による観測方式

    本実証では、各カメラから毎分スナップショット画像を取得し、
    AIによる人物検出を行いました。

    取得したデータは、5分単位および15分単位で集計し、
    ArcGISを用いたマップ・ダッシュボード上で可視化しました。

    この仕組みにより、

    ・時間帯ごとの賑わいの変化
    ・会場内のエリア別の混雑傾向
    ・外縁を通過する人と内部へ入る人の構造
    ・曜日や天候による違い

    を継続的に把握できます。

    また、本分析では個人を特定する追跡は行わず、
    静止画像から人数と空間的な集積状況を把握する方式としました。
    公共空間でのイベント評価において、
    プライバシーに配慮しながら運営改善に必要なデータを取得する方法です。

    ■ 人数ではなく「量」と「構造」で賑わいを見る

    本分析では、イベントの賑わいを次の2つの視点から評価しました。

    賑わい量

    C1、C2、C3の3つの賑わい観測エリアで検出された人数を集計し、
    会場内部にどの程度人が集まっていたかを把握する指標です。

    この値は、ユニーク来場者数ではなく、
    特定エリアにおける人の集積や滞留の厚みを示します。

    内側化率(inside_ratio)※会場内への流入割合

    会場外縁部を通る人流に対して、
    どの程度の人が会場内部の導線へ入り込んでいるかを示す構造指標です。

    inside_ratio = F1 ÷(F1 + F2)

    この指標により、
    外縁部を通過するだけの人が多い状態と、
    会場内部に入り、滞在・回遊する人が多い状態を区別できます。

    つまり、イベントの賑わいは
    「どれだけ人がいたか」という量だけでなく、
    「人がどのように会場を利用していたか」という構造とあわせて
    評価することが重要です。

    ■ 11日間の観測で確認された主な結果

    1. 内部滞在が強い日ほど、賑わい規模も大きい傾向

    11日間の日別データを分析した結果、
    内側化率が高い日ほど推定延べ入場者数も多くなる傾向が確認されました。

    両者の間には中程度の正の相関
    (相関係数 r = 0.62)が認められています。

    これは、単に会場周辺を通る人を増やすだけでなく、
    来場者が内部へ入り、滞在・回遊しやすい空間をつくることが、
    イベントの賑わい形成に関係することを示唆しています。

    2. 平日と休日では、賑わう時間帯が異なる

    休日は、平日に比べて日中から夕方にかけて
    会場内部の賑わい量が高くなる傾向が確認されました。

    一方、18時以降は休日の減少幅が比較的大きく、
    休日は日中から夕方に来場が集中し、
    夜間は早い時間帯から減少する行動特性が見られました。

    この結果は、スタッフ配置や誘導計画を
    曜日・時間帯別に検討する必要性を示しています。

    3. 雨天時には賑わい量が有意に低下

    降雨時と非降雨時の賑わい量を比較した結果、
    Wilcoxon順位和検定において
    統計的に有意な差が確認されました(p = 0.0004)。

    降雨は、会場内部に集まる人の規模を低下させる要因として
    明確に確認されました。

    一方、内側化率については、
    降雨時と非降雨時で統計的に有意な差は確認されませんでした。

    この結果から、来場規模は天候に影響を受ける一方で、
    内部へ入り込む人流構造は、
    賑わい量とは別の視点で評価する必要があることが分かります。

    ■ GISで明らかになったエリアごとの役割

    会場内部のC1、C2、C3を比較した結果、
    各エリアには異なる賑わい特性があることが確認されました。

    C1とC2は強い相関を示し、
    会場内の主要な賑わい変化をほぼ同時に捉えるエリアでした。

    一方、C3はC1・C2に対して15分から30分程度遅れて
    賑わいが高まる傾向が確認されました。

    これは、主動線を通過した来場者が、
    時間差を伴って別の場所に滞留する構造を示しています。

    また、時間帯別に見ると、

    ・平日はC2が安定した主動線的エリア
    ・休日の夕方以降はC3で賑わいが集中しやすい
    ・C1は全体人流の分散に関係する補助的エリア

    という特徴が確認されました。

    このような違いは、会場全体の人数だけでは把握できません。
    GIS上で場所と時間を重ねて確認することで、
    重点的に監視・誘導すべき場所を
    曜日や時間帯に応じて検討できるようになります。

    ■ 可視化情報は来場者向け情報提供にも活用可能

    本実証では、AI解析により取得した賑わいデータを
    ArcGISによる「にぎわい度MAP」として可視化しました。

    にぎわい度MAPの閲覧数と推定延べ入場者数の関係を分析した結果、
    両者の間には中程度の正の相関
    (相関係数 r = 0.43)が確認されました。

    閲覧数だけで来場行動を説明することはできませんが、
    混雑や賑わいの可視化情報が、
    来訪者への情報提供手段として一定の可能性を持つことが示されました。

    今後、Webサイト、SNS、現地サイネージなどと連携することで、
    混雑回避や回遊促進、来場判断支援への展開も考えられます。

    ■ 実証データの信頼性と利用上の留意点

    本分析では、観測開始後の2日間についてデータ欠損状況を確認しました。

    ・総レコード数:6,310件
    ・欠損レコード数:470件
    ・欠損率:7.45%

    欠損は特定のカメラだけで発生したものではなく、
    API取得側の一時的な影響によるものと整理されています。

    本分析は瞬間的な人数の断定ではなく、
    5分単位・15分単位での傾向把握や相対比較を重視しているため、
    日別・時間帯別の傾向解釈への影響は限定的と評価されました。

    なお、本分析で扱う賑わい量や推定延べ入場者数は、
    個人を識別して厳密な実来場者数を集計したものではありません。
    イベント運営、安全管理、空間改善の判断材料として、
    人流の変化と構造を説明可能にするための指標です。

    ■ 行政にとっての価値

    本分析は、
    イベント評価だけでなく、

    ・回遊性の改善
    ・滞留空間の設計
    ・公共空間活用

    にも応用可能です。

    特に自治体においては、

    ◎ 説明責任(EBPM)

    を果たすうえで重要な基盤となります。

    ■ まとめ

    みなとみらい21地区のクリスマスマーケットにおける本実証では、
    5台のIoTカメラ、AI人物検出、GIS可視化、統計分析を組み合わせ、11日間にわたってイベント空間の賑わい構造を分析しました。

    その結果、イベント評価では、単なる人数の多さだけでなく、

    ・会場内部へ人が入り込んでいるか
    ・どの場所に滞在が生じているか
    ・曜日や時間帯によって混雑構造がどう変化するか
    ・天候によって来場規模がどう変わるか

    をあわせて把握することが重要であると確認されました。

    特に、内側化率と賑わい量を組み合わせることで、
    「人は多いが通過中心の状態」と
    「内部で滞在・回遊が生まれている状態」を
    区別して説明できるようになります。

    また、GISによる可視化により、
    平日と休日で重点的に確認すべきエリアや時間帯が異なることも
    運営判断に活用できる形で整理されました。

    AIカメラとGISを活用した人流分析は、
    イベントの効果検証だけでなく、
    誘導計画、安全対策、公共空間の改善、
    次年度イベント設計の根拠づくりにも展開可能です。

    ▶ AI×GISによるイベント分析レポートをダウンロード

  • 自治体防犯カメラの課題とは?死活監視から始まる現実的なDX

    自治体の防犯カメラは、多くの地域で既に導入されています。

    しかし現場では、

    ・カメラが正常に動いているか分からない
    ・障害に気付くのが遅れる
    ・SDカードの回収や現地確認の負担が大きい

    といった運用課題が顕在化しています。

    つまり、

    「設置はしているが、管理しきれていない」

    状態が多くの自治体で発生しています。

    本記事では、859自治体のデータをもとに、この課題とその解決策を解説します。

    自治体防犯カメラの構造的な問題

    現在の多くの自治体では、

    ・SDカード録画
    ・現地回収
    ・目視確認

    といった運用が残っています。

    この方式では、

    カメラが止まっていても気付けない

    という根本的な問題があります。

    その結果、

    ・事件時に映像が残っていない
    ・管理責任を説明できない

    といったリスクにつながります。

    なぜ「死活監視」が重要なのか

    防犯カメラにおいて最も重要なのは、

    ◎ 「正常に動いていること」

    です。

    死活監視とは、

    ・電源
    ・通信
    ・カメラ状態

    を遠隔で確認する仕組みです。

    これにより、

    ・障害の即時検知
    ・現地確認の削減
    ・運用の見える化

    が可能になります。

    これは“防犯カメラDX”である

    このような死活監視の導入は、

    単なる機器更新ではなく、

    ◎ 運用のデジタル化(DX)

    です。

    ポイントは、

    ・既存のSD運用を残す
    ・必要な部分だけデジタル化する

    という

    ◎ 「置き換えないDX」

    であることです。

    これは自治体にとって導入しやすい現実的なアプローチです。

    859自治体から見えた更新市場

    本調査では、関東・中部・関西の859自治体を対象に、

    ・人口規模
    ・防犯カメラ台数
    ・運用形態

    をもとに市場を分析しました。

    その結果、

    ◎ 約10万台規模(中心値)

    の更新対象が存在すると推計されました。

    これは、

    ◎ 「未だに運用改善が必要な市場」

    が広く存在していることを示しています。

    自治体にとっての導入価値

    死活監視の導入により、自治体は以下の価値を得られます。

    ・運用負荷の削減
    ・障害対応の迅速化
    ・監査・議会対応の強化
    ・説明責任の確保

    つまり、

    ◎ 「管理できている状態」を作ることができる

    ようになります。

    イベントDXからインフラDXへ

    イベントでの人流分析(賑わいの可視化)に加え、

    防犯カメラの死活監視は、

    ◎ 常設インフラのDX

    に位置づけられます。

    つまり、

    ・イベント(短期)
    ・防犯(常設)

    の両方で、

    ◎ カメラ×データ活用

    が進むことになります。

    まとめ:自治体防犯カメラの課題は、
    「設置」ではなく「運用」にあります。

    死活監視は、その課題を最もシンプルに解決する手段です。

    地域GIS研究所では、こうした現場課題を踏まえ、
    自治体DXの支援を行っています。

    ▶自治体DXコンサルティングについて詳しくはこちら

  • 自治体営業はどう変わる?データで優先順位を決める新しいアプローチ

    自治体営業はなぜ難しいのか

    自治体向けの営業は、民間とは異なる難しさがあります。

    ・どの自治体にアプローチすべきか分からない
    ・担当者によって反応が大きく異なる
    ・予算やタイミングに左右される
    ・「なぜこの自治体なのか」を説明しにくい

    その結果、

    ◎ 経験や勘に依存した営業

    になりやすいのが実態です。

    データに基づく営業という考え方

    こうした課題を解決するために重要なのが、

    ◎ データに基づく営業

    です。

    本分析では、

    ・イベント活発度(語彙カウント)
    ・人口規模

    を組み合わせることで、

    ◎ 自治体ごとの優先順位

    を可視化しました。

    これにより、

    「なんとなく有望そう」ではなく
    「データ上有望」

    という判断が可能になります。

    優先順位(Priority)の考え方

    本分析では、自治体を以下の3段階に分類しています。

    ★★★(高優先度)
    イベントが多く、人口も多い
    → 最優先で営業すべき自治体

    ★★(中優先度)
    どちらかが高い
    → 条件次第で案件化可能

    ★(低優先度)
    現時点では優先度は低い
    → 将来候補

    この分類により、

    ◎ 営業リソースの最適配分

    が可能になります。

    営業プロセスはどう変わるのか

    データを活用することで、営業プロセスは大きく変わります。

    ■ 従来

    ・リストを作る
    ・とりあえず訪問
    ・反応を見る

    ■ データ活用後

    ・優先度★★★自治体を抽出
    ・事前にイベント傾向を分析
    ・仮説を持って提案

    つまり、

    ◎ 「待ちの営業」から「戦略営業」へ

    変わります。

    初回アプローチが変わる

    データを使うことで、初回の会話内容が変わります。

    例えば、

    「御自治体ではイベントが多いと伺っています」

    ではなく、

    ◎ 「御自治体では○○系のイベントが継続的に開催されています」

    と具体的に話せます。

    これにより、

    ・信頼性が上がる
    ・関心を引きやすい
    ・商談化しやすい

    という効果があります。

    提案の説得力が上がる理由

    自治体への提案では、

    ◎ 「なぜこの規模なのか」

    が必ず問われます。

    データを使えば、

    ・イベント活発度
    ・人口規模
    ・類似自治体

    をもとに、

    ◎ 論理的に説明

    できます。

    これは、内部説明(稟議)にも大きく影響します。

    単発案件から継続へ

    イベントは単発案件になりがちですが、

    ・データ取得
    ・レポート化
    ・可視化

    を行うことで、

    ◎ 継続的なデータ活用

    につながります。

    例えば、

    ・次年度予算化
    ・他部局への展開
    ・定常的な人流分析

    といった展開が可能になります。

    つまり、

    ◎ イベントは入口であり、本命はデータ活用

    です。

    まとめ|自治体営業はデータで変わる

    自治体営業はこれまで、

    ・経験
    ・人脈
    ・タイミング

    に依存してきました。

    しかし、

    ・Webデータ
    ・人口データ
    ・GIS

    を活用することで、

    ◎ 戦略的に設計可能な領域

    へと変わります。

    地域GIS研究所では、このようなデータ分析をもとに、
    自治体DXおよび営業戦略の支援を行っています。

    ▶自治体DXコンサルティングについて詳しくはこちら