カテゴリー: 自治体DX・業務改善

自治体DXや業務改善に関する解説記事を掲載しています。

窓口業務、申請手続き、台帳管理など、自治体特有の業務課題をデータ活用の視点から分析し、実践的な改善方法を紹介しています。

  • 占用許可申請のオンライン化はなぜ進まないのか〜占用業務を“路線図”として捉えたSaaS型POCの実践〜

    自治体業務の中でも、占用許可申請のオンライン化は長年課題とされてきました。

    原因は単純で、
    申請だけオンライン化しても業務が完結しないからです。

    本記事では、既存システムを活かしながら実現した
    現実的なオンライン化モデル(POC)
    を紹介します。

    ■ 背景:なぜ占用許可申請はオンライン化できないのか

    現在の電子申請サービスでは、

    • 申請受付
    • 添付ファイル提出

    までは対応できます。

    しかし実際の業務では、

    • 審査
    • 納入
    • 許可書発行

    といった一連の流れが必要です。


    ◎ 問題はここです

    「申請の後の業務がつながらない」


    結果として、

    • メール
    • Excel
    • 個別システム

    が混在する運用になっています。

    ■ 自治体の制約:ネットワーク分離

    自治体のシステム環境は、

    • インターネット系
    • LGWAN系
    • 庁内系

    に分離されています。


    ◎ つまり

    外部サービスと庁内システムが直接つながらない


    これが、オンライン化が進まない本質です。

    占用業務を「ライフサイクル」で捉える

    占用許可は、一度の申請で終わるものではありません。下図にある**「占用ライフサイクルモデル」**が示す通り、業務は「誕生(新規申請)」「維持(納付更新)」「再生(継続更新)」という無限のループで構成されています。

    手続きの種類発生条件申請者の負担現地調査最終成果物
    新規申請未登録・新規要望重いあり新規許可書・起案書
    納付更新年度替わり軽い(納付のみ)なし納付更新リスト・調定表
    継続更新申請切れ中(書類提出)なし更新許可書

    このように、種類によって業務の重さも成果物も異なります。これら全てを一つのシステムで強引に置き換えるのではなく、それぞれのプロセスの「合流地点」をいかにつなぐかが重要です。

    占用業務を複雑にしているのは、申請者、占用担当者、そしてシステムや金融機関という異なるアクター(路線)が複雑に絡み合う点にあります。

    「路線図」で可視化する業務のボトルネック

    例えば、新規申請フェーズでは現地調査や適不適の確認を経て「起案書」が作成されますが、継続申請においても起案以降は全く同じ**「共通収納レール」**へと合流します。 このプロセスを「路線図」として可視化することで、どこでデータが滞留しているのか、どの「駅(書類)」で手作業が発生しているのかが明確になります。

    さらに、未申請者への「催告状」や未納者への「督促状」といった、例外処理(セーフティネット)までを設計に組み込むことで、初めて実務が完結します。

    業務プロセス全体を「路線図」で俯瞰したことで、下図のとおりRPAやポータル化によって優先的に自動化すべき**「アナログ・タッチポイント」**が特定されました。

    • Target 1「発送」のデジタル化: ポータルサイトを通じたデジタル配信により、紙の郵送コストと封入作業を削減。
    • Target 2「振込確認」の自動化: 金融機関とのAPI連携により、消し込み作業を自動化。
    • Target 3「窓口・多重入力」の排除: e-Gov連携によるオンライン申請を庁内システムと直結。

    占用業務は、
    単一の手続きではなく、

    「申請 → 審査 → 納入 → 許可 → 維持更新」

    という連続した業務フローです。

    ■ 解決アプローチ:「流れ」を分断しない

    今回のPOCでは、

    単一システムではなく、組み合わせで解決

    しています。

    ■ 構成

    • 申請受付:オンラインフォーム
    • ワークフロー:自動連携処理
    • データ管理:業務データ基盤
    • 庁内処理:既存業務システム

    ◎ ポイント

    「置き換えない」こと

    ■ POCで実現した業務フロー

    今回の特徴は、「段階的な処理」を実現している点です。

    今回の特徴は
    段階的な処理です


    ■ 主な流れ

    1. オンライン申請(位置情報付き)
    2. 受付通知(自動)
    3. 担当者による審査
    4. 承認・却下
    5. 請求書送付
    6. 入金確認
    7. 許可書発行

    ◎ これらを

    • メール通知
    • ステータス更新
    • 自動連携

    でつないでいます。

    ■ ポイント:既存システムを捨てない

    今回の一番重要な考え方です。


    ■ 結論

    既存システムはそのまま使う


    • 庁内業務システム
    • データベース

    は変更せず、

    外側に仕組みを追加します。


    ■ なぜ重要か

    これにより、

    • 予算制約
    • ベンダーロック
    • 運用負荷

    を最小化できます。

    システム連携の実態

    本モデルでは、

    メールを使ったデータ連携

    を採用しています。


    ■ 仕組み

    • 外部 → CSV送信
    • 庁内 → メール受信
    • 自動でデータ登録

    ◎ これにより

    ネットワーク分離を突破

    しています。

    ■ 今後の展開:自治体DXの現実解

    このモデルは、

    • 道路占用
    • 公園占用
    • 公園使用
    • 各種申請

    に横展開可能です。


    ◎ 特に重要なのは

    「つなぐ設計」

    です。

    ■ まとめ

    占用許可申請のオンライン化は、

    単なるデジタル化ではなく
    業務プロセスの再設計です。


    今回のPOCでは、

    • 強靭化環境でも実現可能
    • 既存システムを活用
    • 段階的に導入可能

    という現実解を示しました。

    ■ 最後に

    自治体DXは、

    ◎ 「システム導入」だけではなく
    「組み合わせ設計」

    も含めて進めるべきです。

    ■ ご相談について

    占用許可申請のオンライン化や、
    既存システムを活かした業務改善については、

    ・現状の課題整理
    ・小規模な実証(POC)
    ・段階的な導入検討

    から対応可能です。

    まずはお気軽にご相談ください。

  • 自治体DXを阻む4つの構造と解決方法― データ活用の本質と地域GIS研究所のアプローチ ―


    自治体DXを進めるうえで重要なのは、
    単にシステムを導入することではなく、

    自治体特有の業務文化を理解したうえで進めることです。

    自治体には、長年の運用の中で蓄積された

    ・台帳データ(例:固定資産課税台帳、道路台帳、公園・樹木台帳)
    ・空間情報(地図・施設)
    ・業務履歴(点検・申請・苦情)

    といった、極めて価値の高いデータ資産が存在しています。

    しかし現実には、それらが十分に活用されていません。


    ■ 自治体DXの本質と課題

    このように、自治体に存在する様々なデータは
    GISによって統合され、分析・可視化を経て、
    最終的に政策判断へとつながります。

    本来、自治体が持つデータは

    「現場 × 位置 × 時間」

    をすべて持つ、非常に強力な資産です。

    例えば

    ・樹木台帳 → 空間+履歴
    ・人流データ → 時間変化
    ・道路・施設 → 位置情報

    これらを統合すれば、

    「見える化」ではなく「意思決定の根拠」になります

    しかし現実には、こうしたデータが存在していても、
    十分に活用されていないのが実情です。

    その背景には、自治体特有の組織構造があります。


    ■ DXを阻む4つの構造的課題

    自治体DXが進まない背景には、以下の構造的課題があります。


    ① 縦割りによる弊害

    ・部署ごとにデータが分断
    ・同じ情報を重複管理
    ・横断的な意思決定ができない

    ☑ 結果:全体最適ではなく部分最適


    ② 前例踏襲主義の弊害

    ・「今まで通り」が優先される
    ・データ活用の新しい試みが進まない
    ・改善よりも維持が目的化

    ☑ 結果:変化に弱い組織


    ③ 予算主義による財政の硬直化

    ・単年度予算での最適化
    ・投資対効果ではなく「使い切り」
    ・システム更新が断片的

    ☑ 結果:全体設計ができない


    ④ 上意下達の組織の弊害

    ・現場の知見が政策に反映されない
    ・データが意思決定に使われない
    ・判断が経験依存

    ☑ 結果:EBPMが機能しない

    これらの課題により、
    データがあっても「判断」に使われない状況が生まれています。


    ■ 自治体データの本来の価値

    自治体が持つデータは、単なる記録ではありません。

    政策判断のための基盤となる資産です

    しかし、

    ・分散している
    ・活用されていない
    ・蓄積されていない

    といった理由により、その価値が十分に発揮されていません。

    こうした課題を解決するためには、

    単にデータを集めるだけではなく、
    「現場・位置・時間」を持つデータを統合し、
    分析から意思決定までを一体で回す仕組みが必要です。

    以下は、その具体的な運用イメージです。

    このように、現場データを起点として、
    データの統合・可視化・分析・意思決定までを一体で回すことで、従来分断されていた業務をつなぎ、
    データに基づく政策判断(EBPM)を実現することができます。


    ■ DX化の正しい進め方

    地域GIS研究所では、こうした仕組みを実現するために、
    DXを以下のステップで進めます。


    ① データをつなぐ(統合)

    ・GISによる空間統合
    ・Excel・CAD・台帳の一元化

    ✅ 縦割りの解消


    ② 見える化する(可視化)

    ・ダッシュボード
    ・マップ表示

    ✅ 現場と管理の共通認識を形成


    ③ 分析する(理解)

    ・時系列分析
    ・リスク分析
    ・パターン抽出

    ✅ 前例依存から脱却


    ④ 判断に使う(EBPM)

    ・KPI化
    ・優先順位付け
    ・施策検討

    ✅ 上意下達から脱却


    ⑤ 運用に組み込む(定着)

    ・日常業務への組み込み
    ・継続的なデータ更新

    ✅ 予算主義から脱却


    ■ 地域GIS研究所の存在意義

    地域GIS研究所の役割は、

    単なるシステム導入ではありません


    ■ 強み

    ① 自治体35年の現場理解

    机上ではなく、実務に基づいた支援


    ② GIS × 統計 × AIの統合

    技術を「使える形」に落とし込む


    ③ 業務フローから設計

    システムではなく「業務を変える」


    ④ 小さく始めて広げる設計

    PoCから横展開へ


    ■ まとめ

    自治体DXの本質は、

    「データを使うこと」ではなく
    「データで判断すること」

    です。


    そしてそれを実現するためには、

    自治体の文化を理解し、
    現場・データ・政策をつなぐことが不可欠です。


    地域GIS研究所は、

    現場経験 × GIS × 統計 × AI

    を組み合わせ、

    自治体におけるデータ活用と意思決定の高度化を支援します。


    ■ 活用をご検討の方へ

    自治体DXの導入やデータ活用について、

    ・自自治体で活用できるか知りたい
    ・どこから始めるべきか相談したい
    ・具体的な導入イメージを検討したい

    など、お気軽にご相談ください。


    ▶ お問い合わせはこちらです。

  • 自治体イベント市場とは?859自治体データから見えたDXの可能性

    自治体イベントは「賑わい創出」だけでなく、観光振興や地域経済活性化、防災実証など、複数の目的を持つ重要な施策です。

    しかし実際の現場では、

    ・どの自治体がイベントに積極的なのか分からない
    ・営業の優先順位が感覚に依存している
    ・市場規模を説明できない

    といった課題が多く存在します。

    そこで本記事では、全国859自治体(関東、関西、中部、北陸一部)の公式Webサイトを分析し、自治体イベント市場をデータで可視化した結果を分かりやすく解説します。

    自治体イベント市場の課題とは

    これまで自治体向けの提案は、以下のような方法に依存していました。

    ・過去の実績ベース
    ・営業担当者の経験や勘
    ・個別ヒアリング

    しかしこの方法には問題があります。

    ・属人化しやすい
    ・再現性がない
    ・市場全体が見えない

    つまり、「なんとなく有望そう」という判断から抜け出せていないのが実態です。

    859自治体をデータで分析するというアプローチ

    本調査では、関東・中部・関西の859自治体を対象に、公式Webサイトの情報を収集・分析しました。

    具体的には、

    ① 自治体公式サイトを網羅的に収集
    ② イベント関連のキーワードを抽出
    ③ 出現回数をカウント
    ④ 人口データと組み合わせて分析

    という手法を用いています。

    この方法により、「イベントが多い自治体」を客観的に把握することが可能になります。

    イベント数はどうやって推定するのか

    イベントの開催回数を直接取得することは困難です。

    そこで本調査では、「イベント関連語彙の出現回数」を指標として使用しました。

    例えば、

    ・イベント
    ・祭り
    ・フェス
    ・マルシェ
    ・イルミネーション

    といった単語が、自治体サイト内にどれだけ登場するかをカウントします。

    この数値は「実際の回数」ではなく、

    ◎ イベントの活発度(発信量)

    を示す指標として扱います。

    つまり、イベント情報が多く発信されている自治体ほど、
    実際のイベント開催も多い可能性が高いと判断できます。

    人口データと組み合わせることで見えるもの

    イベントの多さだけでは、市場規模は判断できません。

    例えば、

    ・人口1万人でイベントが多い自治体
    ・人口50万人でイベントが多い自治体

    では、影響力が大きく異なります。

    そこで本調査では、

    ◎ イベント活発度 × 人口規模

    を組み合わせることで、

    ・営業優先度
    ・市場性

    を評価できる指標を設計しました。

    これにより、「どの自治体にアプローチすべきか」が明確になります。

    自治体DXにどうつながるのか

    この分析は単なる調査ではなく、実務に直結します。

    例えば、

    ・イベントの混雑状況の可視化
    ・人流データの取得
    ・レポートによる政策説明

    など、データ活用による自治体DXに直接つながります。

    特に、

    ・イベント
    ・観光
    ・防災
    ・都市計画

    といった分野では、データに基づく意思決定(EBPM)が重要になります。

    まとめ|自治体DXは「データ化」から始まる

    自治体イベント市場は、これまで感覚的に捉えられてきました。

    しかし、

    ・Webデータ
    ・人口データ
    ・GIS

    を組み合わせることで、

    ◎ 市場の可視化
    ◎ 営業の優先順位化
    ◎ DXへの接続

    が可能になります。

    地域GIS研究所では、このようなデータ分析をもとに、
    自治体のDX推進を支援しています。

    ▶自治体DXやGIS活用について詳しくはこちら

  • 自治体DXとは何か?

    自治体DXとは、デジタル技術を活用して行政サービスの向上と業務効率化を図る取り組みです。

    近年、多くの自治体でDXの必要性が叫ばれていますが、実際の現場では以下のような課題が残っています。

    ・紙やExcel中心の業務が多い
    ・担当者ごとに業務が属人化している
    ・データがバラバラに管理されている
    ・現場と管理部門の情報が連携していない

    このような状況では、DXは単なる「システム導入」で終わってしまいます。

    自治体DXが進まない理由

    自治体DXが進まない最大の理由は、「現場業務とデジタルが分断されていること」です。

    例えば、

    ・現場で収集した情報が紙のまま保管される
    ・Excelに入力されても活用されない
    ・複数のシステムが連携していない

    といったケースが多く見られます。

    その結果、データは存在していても「意思決定に使えない状態」になっています。

    GISが自治体DXの鍵になる理由

    GIS(地理情報システム)は、位置情報とデータを組み合わせて管理・可視化する仕組みです。

    自治体DXにおいてGISが重要な理由は以下の通りです。

    ・現場の情報を地図上で一元管理できる
    ・複数のデータを統合できる
    ・関係者間で同じ情報を共有できる
    ・視覚的に分かりやすく説明できる

    これにより、現場と管理部門の分断を解消し、データに基づく意思決定(EBPM)が可能になります。

    GISを活用した自治体DXの具体例

    実際の現場では、GISを活用することで以下のような業務改善が可能です。

    ■ 公園管理
    遊具や樹木の点検情報を地図で管理し、老朽化状況を可視化

    ■ 防災・危機管理
    カメラやセンサーの情報をリアルタイムで把握

    ■ インフラ維持管理
    点検履歴を蓄積し、計画的な更新を実施

    ■ 交通・人流分析
    カメラデータを活用した交通量や賑わいの分析

    これらはすべて、現場で取得したデータを活用することで実現できます。

    自治体DXを成功させるポイント

    自治体DXを成功させるためには、以下の3点が重要です。

    ① 現場業務から設計する
    システムありきではなく、現場の業務フローを起点に考える

    ② 小さく始めて拡張する
    POC(実証)からスタートし、段階的に拡張する

    ③ データを活用する仕組みを作る
    収集だけで終わらず、分析・可視化まで設計する

    この3点を押さえることで、実務に定着するDXが実現できます。

    まとめ|自治体DXはGISから始める

    自治体DXは単なるIT化ではなく、「業務のあり方を変える取り組み」です。

    その中核となるのが、GISによるデータの統合と可視化です。

    地域GIS研究所では、自治体の現場課題に即したDX支援を行っています。

    GISや自治体DXに関するご相談は、お気軽にお問い合わせください。
    ▶自治体DXコンサルティングについて詳しくはこちら